あるview

 

オレンジと黒の火種

 

半分短くなった白い巻き紙

 

どうしようも無いほど固そうな黒い灰皿

 

 

 

 

 

 

 

 

灰皿の隣に飲みかけのグラス

 

ブラックニッカのボトル

 

伏せて置いたスマホ

 

 一人用でちょうどいいテーブル

 

 

 

 

ベージュの絨毯の床

 

ソファーは茶色い布をかけてて

 

クッションは二つとも淡い緑で正方形

 

 

 

 

カーテンは更に淡くて緑にも水色にも見える

 

豆電球にしてるから色がぼやけてる

 

壁は今はオレンジで

 

四角いデジタル時計を掛けてる

 

 

 

1:00ちょうど

 

 

 

ごみ箱は大きさに悩んで買ったけど結局大きかっ

 

 

 

 

 

何故か買った低い木の椅子が定位置になったノートPC

 

画面だけが薄暗い部屋の中で異界の入り口みたいに白く光ってて、毛のない羽根の生えた鬼が飛び出してきそうなこれでもかと言うほど正確な直角の穴を空けてる

 

 

 

 

 

 

黒い電源コードにズームする。

 

 

長い毛足の絨毯の上を辿って

 

 

白い延長コードを更に駆けていき

 

 

 

フローリングに降りて

 

 

暗いトンネルに入り

 

 

壁にぶつかる。

 

 

 

 

急いで今来た道を戻って

ベッドの下から抜け出して

 

一気に天井まで昇り、

 

 

テーブル、ソファ、カーテン

カーペット、ごみ箱、椅子、

パソコン、ベッドを見下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶色のかけ布団の上でうつ伏せになってる

 

長袖のTシャツに下は下着だけ

自分の恥態を見るのは恥ずかしい

 

顔は壁の方に向けて、腕はほぼ90度上に曲げて、両足は幸い真っ直ぐ伸ばしてる

 

 

電源を抜いたみたいに動かない

 

スウェットのズボンはベッドの足元に落ちてる

 

 

 

 

 

 

 

テーブルの上に戻る。

 

いつも面倒だから氷を入れない飲みかけのグラス

 

 

その横から天井に向かって伸びて

 

高く昇る毎に照明と空気に混じって

 

部屋を密かに埋めていく煙は

 

今は僕と同じように全く動かない

 

 

 

 

 

酔って潰れた午前1:00の寝室を

 

写真みたいに切り取って

 

中を自由に飛び回ってる。

 

 

 

1:05になった時に煙草はどこに着地しているか

 

今は考えても分からないし

 

分かったところで何を出来るわけでもなさそうで、

 

ベッドの僕に重なって横になった。